美大卒業後、スタージュエリーに入社して12年目。もともとはグラフィックデザイン専攻でしたが、学生時代からスタージュエリーが大好きで、ジュエリーデザインをしたいというよりも、この会社で働きたくて入社しました。以来、ずっとデザイン室でキャリアを積み上げ、現在はチーフデザイナーとして個々の商品デザインだけではない多岐にわたる仕事にたずさわっています。 入社8年目に会社に在籍したままの状態で、一年半、ニューヨークに留学しました。このような前例はなかったのですが、やる気と熱意を会社に伝え、念願の留学が実現。午前中は語学学校、午後はアクセサリーデザイン全般やブランディングなど幅広く学ぶことできました。世界中から熱心な学生たちが集まる中で、特に鍛えられたのが自分の意見や作品をアピールするプレゼンテーション力。この経験は現在の仕事にとても役立っていると思います。また、さまざまな刺激に満ちたニューヨークという恵まれた環境で過ごした時間は、デザイナーとしての可能性を広げてくれたと思いますし、こうしたチャンスに恵まれたのは、社員の自発的なやる気を親身にバックアップしてくれるスタージュエリーという会社の理解があったからこそだと思っています。
チーフデザイナーの重要な仕事のひとつが、年間のデザインテーマを決めることです。海外の有名なジュエリーフェアに出向いて世界的なジュエリーの動向を踏まえ、ファッションのコレクションなども参考にしながら、夏頃には次の年のデザインテーマを決定します。ちなみに2007年のテーマは「NATURE(自然)」。可愛らしさや繊細さを残しつつも、素材や質感にこだわったり、甘すぎない葉っぱなどのモチーフを取り入れてみたり、生命の源である「海」、幻想的な森の中の「実り」を表現したりと、自然の力強さをデザインしました。 伝統のスタージュエリーらしさを受け継ぎながら、いかに斬新なデザインを取り入れるか、それが一番デザイナーとして難しいところでもあります。ファンのお客さまを裏切ってもいけないし、そのまま停滞しているだけでは廃れていってしまう。お客さまに「スターって、こんなこともやるんだ!」という驚きやインパクトを与え、常にいい意味でお客さまを裏切っていきたいですね。たとえば、昨年の「SKULL(どくろ)」モチーフ。昨年のテーマ「TIMELESS JOURNEY(時代を超越した旅)」の最終シーズンを飾るクリスマスに向けたモチーフとして、かつてない「SKULL」にチャレンジしました。「スタージュエリーがSKULL?」と社内でも大きな議論になったのですが、モードの流れやテーマからして、やるなら昨年がベストタイミングだったと思っています。
デザイナーである以上、デッサンを描けるなどの基礎的なスキルは必要です。が、真面目にデッサンやデザインを学んだというだけでは、時代の感覚やモードの流れを敏感にキャッチすることはできません。デザイナーにとって大事なのはやはり感性。感性を磨くために、いろいろなことに好奇心を持って、アンテナを立てていることが大切です。私も仕事以外の時間はなるべくデザインから離れ、体を動かしたり、美しいものを見たりとオフに徹し、一年に一度は必ずニューヨークを訪れて、新しい刺激に触れるようにしています。 若い皆さんにはジュエリーに限らず興味のあることにどんどん挑戦して、たくさんのことを吸収してほしいと思います。絵画や建築でもいいし、お料理でもいい。自分が心地いいとか好きと思えることをとことん追求してみることが大事。好きなことが多ければ多いほど、デザイナーとしての幅も広がります。そして、自分の好きなこと、好きなデザインをいくらでも表現できるのがスタージュエリーという会社なのです。