SCROLL

70年以上の歴史に培われたクラフトマンシップにより生み出される、スタージュエリーのブライダルリング。精緻な描写でリングに命を吹き込むデザイナー、そして卓越した技術でデザイン画を立体へと昇華させる原型師。プロフェッショナルな視線が重なり、ひとつのリングが誕生します。こだわりのブライダルリングに込められた、デザイナーと原型師のものづくりへの想い。横浜・元町にあるスタージュエリーの自社工房でそのストーリーを聞きました。

Design

飽きのこない形とつけ心地の良さを大切に

「結婚するおふたりが幸せになるところをイメージすること、それがデザインの原点ですね」と話す、デザイナーの木村 蘭。ブライダルリングを作るうえで心がけているのは、程良い可愛らしさを大切にしつつも飽きのこないデザインであること。

「ファッションジュエリーとは違いずっと使い続けるものなので、派手過ぎずシンプルに。でも華やかであるように、バランスがなにより重要です。そして、つけ心地の良さはもちろん、手はいつも日常的に自分の目に映るものなので、止まったり、動いたり、360度どこから見ても美しいことが大事ですね。ブライダルリングにはそんな“見られる角度のデザイン”も大切にしています」

コンセプトのあるリングをデザイン

木村にとって、スタージュエリーらしいデザインとは、気品のあるリングの造形美のなかに、ひとつのコンセプトやストーリーを込めること。「デザインを気に入って選んでいただけるのは一番うれしいことですが、そのリングが何か意味が込められたものであれば、見る度に、選んだときの『こういう想いが込められているんだ』という驚きやワクワクする気持ちが蘇ると思うんです。それがスタージュエリーのリングデザインの魅力だと思います」

通常、ひとつのブライダルリングのデザイン画の製作には1、2ヶ月かかります。仕上がったデザインは原型師の手に渡り、平面から3Dへと姿を変え、完成へと一歩ずつ近づいていきます。

Craftsmanship

デザイナーの想いやコンセプトを立体で表現

リングのデザイン画を立体へと作り上げていくのが、原型師の仕事です。スタージュエリーの自社工房には現在10人の原型師がいますが、専属の原型師を抱えるブランドは国内では他にないと言われています。スタージュエリーがこの体制にこだわるのは、「デザイナーと原型師の密な連携こそが、本物のクラフトマンシップを生み出せる」というブランドの信念からです。

「デザイン画を受け取ったら、まずはどういうコンセプトをお客様に伝えたいのかを必ずデザイナーと確認します。そのうえで、今度はそのコンセプトをどういう形状、輝き、バランスで表現していくのかを提案していきます」と話すのは、原型師の斉藤雅也。まずは、3週間ほどかけてワックスで指輪の原型を作り、ある程度形が決まったら今度はシルバーを削って指輪を製作していきます。デザイナーとはひとつのリングの完成までに、平均して5、6度の細かい打ち合わせを重ねるそうです。

ディテールに磨きをかけ、完成へと導く

「デザイン画を実際に立体にすると、新たに見えてくることが多いです。ダイヤモンドの置く位置の微妙な重なりやリズム、つけ心地。0.01㎜単位の調整に試行錯誤することもあります。デザイナーと原型師がお互い美しいと思うものを擦り合わせ、より高いレベルでものを生み出す。大変ですが、やりがいがあります。また、自社工房という場所にデザイナーと原型師が近い距離にいるからこそ、対話できることも多い。常に自分のなかでその“答え”を見つけながら、一歩一歩、デザイナーと一緒に完成に近づけていきます」

デザイン画からファーストサンプルができあがるまでは、およそ2ヶ月。自社工房を持つジュエラーならではの、確かなクラフトマンシップによる高品質なブライダルリングがまたひとつ、誕生します。

New Engagement Ring STARGAZER

新作エンゲージメントリング
「STARGAZER」誕生秘話

“星を観測する人”を意味する「STARGAZER」。美しいウェイブを描くアームの先に小さなスターモチーフをあしらい、センターダイヤモンドをセッティングしたエンゲージメントリング。果てしなく広がる宇宙を旅したふたつの星が、ダイヤモンドの輝きに導かれるように奇跡的に出会い、ひとつになるかのようなロマンティックなデザイン。

「サイドのダイヤモンドがはっきりとした星形だと少し可愛らしくなり過ぎてしまうと思い、5点の爪にして星をイメージさせるデザインをおこしました。また、アームにも流れ星が指に沿うようなイメージを表現しています。アームの曲線は、ダイヤモンドの輝きと優美に見える角度を探り、多くの試作を重ねました」とデザイナーの木村。原型師の斉藤は、サイドのダイヤモンドの輝きと見え方に大きな挑戦があったという。「正面から見たとき、センターダイヤモンドにサイドのダイヤモンドがぴったりとくっつくように見えることが美しいフォルムを実現させるために不可欠だと感じていました。デザイン画から立体におこしていく段階で何度も調整を重ね、ダイヤモンドの留め方にアイデアを用いることで、デザイナーのひとつのイメージをカタチに落とし込むことができました」

NEW Marriage Ring RAINBOW

新作マリッジリング
「RAINBOW」誕生秘話

「 “ダブルレインボー”を見ると幸せになる」というジンクスにインスパイアされて、デザインしたのが新作マリッジリング「RAINBOW」。リングにかかる緩やかな2本の曲線で寄り添うふたつの虹を表現した、スタージュエリーならではのコンセプチュアルなリングです。

「ふたりの架け橋となる虹がコンセプトですが、少しでも夢見心地な幸せのイメージを加えたいと思い、雲から雲にかかった虹を表現したいと思いました」と、デザイナーの木村。実は、デザイン上はイメージできていた“雲の表現”が、リングを立体にするときに再現性の難しさに直面したといいます。「アームをただ丸くしても、逆に平らにしてエッジを立てても雲の表現は伝わらない。シンプルなことですが、とても難しい調整となりました」と原型師の斉藤。デザイナーと何度も話し合い、コンマミリ単位の調整でほんの少し丸みを帯びさせることで美しいフォルムとつけ心地を実現しました。

さらに、“虹”の表現にも原型師としてこだわり抜いたポイントがあります。「指輪の幅、数センチという限られたなかで“虹”を表現することは、とても難しい作業でした。シンプルな線がモチーフとなっているがゆえ、線の幅次第で、主張し過ぎてしまい、逆に細いとデザインとしての面白さを弱めてしまいます。リングの角度や向き、指輪の輝きと光の当たり方を見定めることで、そのラインの美しさを追求しました」